【よくある質問】保証金や前払い年会費の返金があるのに、亡くなった父の銀行口座は凍結。私の口座に振り込んでもらう方法は?
保証金や前払い年会費の返金があるのに、亡くなった父の銀行口座は凍結してしまってます。私の口座に振り込んでもらう方法はありますか?
債権も相続の対象になる
「誰かからお金を返してもらう」など、財産等に関する請求権を「債権」といいます。
この債権も、不動産や現金などと同様に原則としてプラスの財産ということになりますので、これを行使する権利を各相続人が持っていることになります。
ただし、一身専属権(年金受給権や生活保護の受給権など)は相続の対象になりません。
よって、契約先に印鑑証明書や戸籍謄本などの必要書類を提出することで指定の口座に振り込んでもらうことが可能です。
契約先に手続きの流れを尋ねて指示を仰ぐようにしましょう。
可分債権は法定相続分で分割される
債権の中でも金銭債権のように分割して請求できる債権のことを可分債権と言います。例えば売掛金やお金の債権、損害賠償請求権などです。
可分債権については、共同相続人が相続分に応じて分割して承継するもの、と最高裁が判決を出しています(最高裁判決昭和29年4月8日)。よって遺産分割をしなくても、自分が分割して相続した分については、単独で請求することが可能です。
一方、預貯金や有価証券などは不可分債権と言い、遺産分割協議が必要です。
凍結された口座の解約方法
質問者の例でもそうですが、被相続人の死亡の事実を知ると金融機関はその人名義の口座を凍結します。
つまり、たとえ葬儀費用のような明らかな必要費であっても口座解約の手続きを終えない限りおろせなくなってしまうのです(一応、遺産分割協議成立前に一定額を預貯金を出金できる仮払い制度があります)。
正式な解約手続きをするためには「代表相続人(解約したお金の代表受取人)」を決めて、銀行の所定の書式に他の相続人が同意する旨を記入しなければなりません。
これもやはり実印、印鑑証明書が必要になりますので、実質的には遺産分割協議が完了していなければ手続きはできないことになります。
なお、各金融機関によって少しずつ手続きに必要な書類や手続きの方法が異なっています。たとえばゆうちょ銀行などであれば、どこの郵便局に申し出をしてもよいのですがその後の流れとしては相続手続専門の事務センターがあり、そこにいったん集約されます。
▶銀行預金の相続手続きの期限は?引き出し方法は?|手続きの流れや必要書類まで詳しく解説「遺産分割協議の場合」「遺言書がある場合」など、ケースによってフローチャートが作られており、それに従って必要書類を準備します。
また、一般の銀行では各支店により手続きがまちまちなこともあり、以前に手続きをした支店とは細かい部分が異なることもあります。
手続きに関するマニュアルを冊子にして郵送してくれる銀行も多いため、最初に電話連絡をし、流れを確認してから書類の準備や窓口への届出を行う方がよいでしょう。
▶死亡した人の銀行口座はそのままだとどうなる?罰則は?少額なら放置してもいい?【行政書士監修】ご希望の地域の専門家を探す
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